2.その倫理を守るのは、誰のため?

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私は、すでに空っぽになった 幸せだった胃を抱えて よろけながら母の部屋の前に 行った。 扉は、しっかりと開いていた。 さっきは気づかなかった。 俯いていたから。 今、私は顔をあげている。 ベッドは、扉から丸見えの位置。 男と女が裸で絡み合っている様子は しっかりと目に入る。 男が筋肉質の尻をふり 女は足をぷるぷると震える足をあげて 男の背中に手を回している。 私と彼のセックスの方が ずっと綺麗だと思った。 「ああん……いくっいくっ」 母だったはずの女は 自分が産んだはずの娘に 動物になった哀れな姿を 見られているなんて これっぽっちも 考えていないのだろう。 足も男の背中にしっかりと 絡ませている。 これがもし縦だったら コアラみたいだと 思ってしまった。 男は、さらに腰を打つ速度を あげている。 「いくよ……」 その言葉を合図に ぱしんっと肉と肉が ぶつかる音がした。 「ああっ……きてる……あったかい……!」 男の種が、注ぎ込まれていることを わざわざ口で実況してくれる。 気持ち悪い。 本当に。 そう思ったときだった。 男が、こちらを見た。
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