2.その倫理を守るのは、誰のため?

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やばい。 逃げようと思った。 見ていることがバレたら 何と思われるんだろう。 でも、逃げられなかった。 男は、じっと私の目を見て ニヤリと笑った。 その瞬間、男は 私がここにいることがわかっていて わざと続けていたということに 気づいた。 けれど、そんなことよりずっと 気付きたくない事実が その顔に隠れていた。 「刀馬……くん……?」 髭は生えている。 お腹もだらしがない。 髪もぼさぼさで汚い。 だけど、目と鼻と口元が 刀馬くんとそっくりだった。
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