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「羽奏、好きだよ」
好き。
私も刀馬くんが好き。
大好き。
「羽奏……気持ちいい？」
うん。
刀馬くんの肌
あったかくて
少し硬くて
優しい。
だから、抱きしめられると
とても気持ちがいい。
走ったら
忘れられると思った。
さっき、聞いたことも
さっき、起きたことも
これまでのことも
全部。
……忘れたいと思った。
私の胸を苦しめる全てを
捨ててしまいたいと思った。
こうして息ができない程
走ってしまえば
私は呼吸ができなくて
死んじゃうんじゃないかと
そう思うくらい
私は必死に走っていた。
こういう時
誰も私に気づかない。
気づいていないフリ
かもしれない。
刀馬くんと2人の時は
警察の人に声をかけられた。
今、制服を着ているにも関わらず
誰も、今の私には
話かけてもくれない。
どうして？
刀馬くんと2人の時は邪魔をするのに
誰でもいいから構われたいという時に限って
みんな私を無視をする。
離れようとする。
刀馬くんも……。
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