2.その倫理を守るのは、誰のため?

41/47

320人が本棚に入れています
本棚に追加
/135ページ
それからの私の記憶は ほとんどない。 気がつけば 私は真っ白な病室にいた。 母ではなく お手伝いさんが 私を迎えに来た。 お手伝いさんが 母だと名乗った。 それから、お医者さんから 質問をいくつかされた。 その中に、何故か こんな質問があった。 「最近、性交渉はあったか」 「身に覚えがあるか」 と。 お手伝いさんがいる前で 恥ずかしいと思った。 だから私は 黙り込んでいた。 するとお医者さんが お手伝いさんにこう言った。 「娘さんは、 おそらく妊娠しています」 その言葉を聞いた お手伝いさんは 顔を真っ青にして 壁に寄りかかった。 そして私はというと 女としての本能なのだろうか。 妊娠という言葉を聞いてすぐ お腹を抱えたくなった。 守りたくなった。 赤ちゃん。 刀馬くんとの赤ちゃんが できた。 嬉しい。 産みたい。 育てたい。 でも……。
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!

320人が本棚に入れています
本棚に追加