318人が本棚に入れています
本棚に追加
/135ページ
彼に与えられる絶頂をこらえながら
私は時を待つしかなかった。
「羽奏、羽奏……好き……可愛い……」
刀馬くんの言葉と息が
どんどん荒くなっていくのを聞きながら
私は、あともう少しで
この幸せな時を
どうやって終わらせればいいのかを
考えていた。
そして待った。
全てを私の中に吐き出してからの
彼が唯一油断をする時間を。
「はぁ……」
全てが終わったあと、彼は大きなため息をつく。
それからすぐ、私をぎゅって抱きしめてくれる。
「すっごく可愛かったよ、羽奏わかな」
って、耳元で囁いてくれる。
私はそうされるのが、大好き……だった。
「ねえ、刀馬くん」
「何?」
私は、この大好きな時間を
手放すための言葉が
これ以外、どうしても思いつかなかった。
「私たち、付き合っちゃいけなかったんだよ」
最初のコメントを投稿しよう!