3.誰も知らない、私以外は

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彼に与えられる絶頂をこらえながら 私は時を待つしかなかった。 「羽奏、羽奏……好き……可愛い……」 刀馬くんの言葉と息が どんどん荒くなっていくのを聞きながら 私は、あともう少しで この幸せな時を どうやって終わらせればいいのかを 考えていた。 そして待った。 全てを私の中に吐き出してからの 彼が唯一油断をする時間を。 「はぁ……」 全てが終わったあと、彼は大きなため息をつく。 それからすぐ、私をぎゅって抱きしめてくれる。 「すっごく可愛かったよ、羽奏わかな」 って、耳元で囁いてくれる。 私はそうされるのが、大好き……だった。 「ねえ、刀馬くん」 「何?」 私は、この大好きな時間を 手放すための言葉が これ以外、どうしても思いつかなかった。 「私たち、付き合っちゃいけなかったんだよ」
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