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わいの名前は 涼石 夏生。
これは、あの頃(小学1年生)を思い出しての話。
ちょっと? 結構? 昔の話。
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クリスマスも終わり、つぎはお年玉やな。何買ってもらおうかなー。なんて考えていると母ちゃんが慌ただしく子供部屋にやって来た。
「大掃除するから、なっちゃんは自分の机を片付け」
「うん」
なんか、母ちゃんピリピリしている。恐!
と思いながら、わいは、机の上にあった小学1年生という雑誌を取った。
「あ、このページまだ読んでへんわ」
気づいてページをめくる。
そして、時間は流れ……
「はよ、片付けって。なっちゃん!!」
「はーい」
わいは、机の上にお菓子のオマケの小ちゃい車を見つけた。
指で走らせてみる。
脇にあった自由帳……
「コース作ったろ」
わいは自由帳に自動車レースのコースを描いた。
そして、時間は流れ……
「なっちゃん!!」
「う、うん」
そうや、片付け片付け、わいは机の上のものを棚に直していく。
端っこに消しゴムのカスが残ってる。これもちゃんと集めて…… 集めて……
丸めて、丸めて……
こねて、こねて……
ちょっと、たりんな……
消しゴムでケシカス作って……
そして、時間は流れ……
「なっ〜ちゃん!!!」 怒!
低い母ちゃんの声が聞こえて来た。
こ、これはヤバイ。
「ちょうど、今やるとこ」
ヤバイ、ヤバイ。
わいは急いで机の上のものを棚に詰めていった。
そしたら棚からポロッと何かが落ちた。
黒い髭に、黒いまるぶちメガネ、口には吹くと紙が伸びてピーと鳴るピロピロ笛(吹き戻し)が付いている。あー、これクリスマス会でもらったビンゴの景品や。あの時はこれして、みんなが無駄に笑ってたな。とか、思い出しながらわいは、黒縁メガネをかけた。そして、笛を吹いてみた。
「ピ〜〜〜〜〜」
と音がして紙が勢いよく伸びる。
フフ、一人でやると、なんか寂しい……
その時、背後でドンって足音がした。
「怒。怒。怒。怒。怒。怒。怒。怒。怒」
と音のない音を背後に感じる。
あ、あかん。と思いながら、ゆっくりわいは後ろを向いた。
仁王立ちの母ちゃんが、腕を組んで睨んでいた。
ど、どないしょ。
ピリピリした空気が流れている。
……
…………
………………
わいは、ひとまず「ピリピリ」を「ピロピロ」に変えたくて、ピロピロ笛を吹いてみた。
「ピ〜〜〜〜〜」
息が切れると、三方向に伸びた紙が怯えたように戻ってくる。
「なっ〜〜〜〜〜ちゃん!!!!!!!!」
低っくい低っくい声が帰って来た。目は三角形や。
「ピリピリピロピロ作戦」大失敗や……
怒られた!!
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