あー、あの日の わいの冒険 1年生 その12 「思い出トレイン」

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 わいの名前は 涼石(すずいし) 夏生(なつお)。  これは、あの頃(小学1年生)を思い出しての話。  ちょっと? 結構? 昔の話。   :    :    :   クリスマスも終わり、つぎはお年玉やな。何買ってもらおうかなー。なんて考えていると母ちゃんが慌ただしく子供部屋にやって来た。 「大掃除するから、なっちゃんは自分の机を片付け」 「うん」  なんか、母ちゃんピリピリしている。恐!   と思いながら、わいは、机の上にあった小学1年生という雑誌を取った。 「あ、このページまだ読んでへんわ」  気づいてページをめくる。  そして、時間は流れ…… 「はよ、片付けって。なっちゃん!!」 「はーい」  わいは、机の上にお菓子のオマケの小ちゃい車を見つけた。  指で走らせてみる。  脇にあった自由帳…… 「コース作ったろ」  わいは自由帳に自動車レースのコースを描いた。  そして、時間は流れ…… 「なっちゃん!!」 「う、うん」  そうや、片付け片付け、わいは机の上のものを棚に直していく。  端っこに消しゴムのカスが残ってる。これもちゃんと集めて…… 集めて……  丸めて、丸めて……  こねて、こねて……  ちょっと、たりんな……  消しゴムでケシカス作って……  そして、時間は流れ…… 「なっ〜ちゃん!!!」 怒!  低い母ちゃんの声が聞こえて来た。  こ、これはヤバイ。 「ちょうど、今やるとこ」  ヤバイ、ヤバイ。  わいは急いで机の上のものを棚に詰めていった。  そしたら棚からポロッと何かが落ちた。  黒い髭に、黒いまるぶちメガネ、口には吹くと紙が伸びてピーと鳴るピロピロ笛(吹き戻し)が付いている。あー、これクリスマス会でもらったビンゴの景品や。あの時はこれして、みんなが無駄に笑ってたな。とか、思い出しながらわいは、黒縁メガネをかけた。そして、笛を吹いてみた。 「ピ〜〜〜〜〜」  と音がして紙が勢いよく伸びる。  フフ、一人でやると、なんか寂しい……  その時、背後でドンって足音がした。 「怒。怒。怒。怒。怒。怒。怒。怒。怒」  と音のない音を背後に感じる。  あ、あかん。と思いながら、ゆっくりわいは後ろを向いた。  仁王立ちの母ちゃんが、腕を組んで睨んでいた。  ど、どないしょ。  ピリピリした空気が流れている。 …… ………… ………………  わいは、ひとまず「ピリピリ」を「ピロピロ」に変えたくて、ピロピロ笛を吹いてみた。 「ピ〜〜〜〜〜」  息が切れると、三方向に伸びた紙が怯えたように戻ってくる。 「なっ〜〜〜〜〜ちゃん!!!!!!!!」  低っくい低っくい声が帰って来た。目は三角形や。 「ピリピリピロピロ作戦」大失敗や……  怒られた!!
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