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美しさ
綺麗じゃないと自覚したのは、いつのことだろうか。
私には分からない。
しかし、今の自分を綺麗とはとても言えない。
顔とかスタイルとか、そういう意味じゃあない。
自分の中のズブズブとしたドス黒い何かが嫌いなんだ。
頭の中にある、よく分からない不安が大嫌いだ。
舞台で踊る踊り子さんは、
きらきらひかるふわふわのドレスを着て、クルクル回って踊ってる。
見てくれが綺麗なだけじゃあ無い。
きっとたくさんのものを犠牲にしたんだろう。
ごく一般的な青春、遊ぶ時間、食べたいお菓子、脂ののった肉料理。
それらを全て叶うか分からない夢のため、憧れのために人生という名のゲームにチップをレイズしたのだ。
勝てば夢の暮らし、負ければ泥水。
僕には我慢なんて出来なかったのに。
僕は嫉妬をしてるんじゃない。
ただ悔しいんだ。
ちっぽけでずるい自分が、嫌いなんだ。
泥水をすする覚悟なんて、僕にはなかった。
漫画やゲームの主人公みたいに、かっこよくはなれなかった。
というより、
そんな夢、とうの昔に捨てていたのかもしれないな。
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