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「わあっ! 雪! 雪! 雪だよ、圭くん!」
舞うように降り始めた雪を見て、彼女は小さな子どものようにはしゃいでいた。制服の上にダッフルコートを羽織っただけ。マフラーも手袋も、帽子もしないでいるのに、まるで寒さなんて感じていないようだった。クルクルクルクル、両腕をめいいっぱい広げてバレリーナのように踊っていた。
「なっちゃん、風邪ひくよ。ほら、コレして」
巻いていたマフラーを外して、菜月にかけてあげると、花が開いたようにフワッと笑っていた。クルっと回されたマフラーでその笑顔の口元が隠れてしまって、ちょっと残念に思った。
「圭くん! 初雪おめでとう!」
たった今、クリスマスのプレゼントでも貰ったかのように、菜月の瞳はキラキラと輝いていた。
「おめでとうって……コレってめでたいの? ただ寒いだけじゃん」と呟く僕に、菜月は楽しそうに「おめでたいの!」と言った。
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