おめでとうを君に

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 その小さな公園は、学校から駅へと続く道の途中にあった。遊具は滑り台とブランコだけの、何でもない公園。普段は子どもたちで賑やかだけど、寒さのせいかその日は誰も遊んでいなかった。  人気(ひとけ)のない公園の真ん中は、菜月の舞台のようだった。彼女はまたクルクルと回っていた。 「古い韓国のドラマで観たの。初雪って凄く意味があるんだって。いろいろジンクスがあるらしい」 「ふーん…」  でも、それって韓国だけだろ? ここは日本だよ。寒いものは寒い。  そんな気持ちが顔に出ていたんだろう。彼女は急に別な質問をした。 「はい! では問題です。英語で “おめでとう” は何と言いますか?」 「は? そりゃ、Congratulationでしょ?」 「ブッブー、Congratulations。コングラッチュレイションズって複数形にするのが重要らしいよ」
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