おめでとうを君に

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 話の脈絡が見えなくて困惑する僕の意識は、その内容よりも踊る彼女の脚の方へと行ってしまっていた。膝上のスカートから覗く長い脚はひんやりと寒そうで、とても美しかった。 「でもね、Congratulations が使えないのもあるんだよ」 「へぇ…」 「お誕生日の時は何て言う?」 「 Happy birthday 」 「でしょ?」  彼女の得意気な顔を見ながら、成程と納得が行った。新年だって “Happy new year” だ。そうか、どちらも日本語では “おめでとう” となる。  彼女の「初雪おめでとう」の意味が、なんとなく “Happy” の方だということは分かった。 「わかったよ、初雪おめでとう! で、どんなジンクスなの?」 「あのね……初雪の降る日を好きな人と一緒に過ごせたら……永遠に……永遠に一緒にいられるんだって!」  俯き頬を染めてそう言うと、菜月は恥ずかしそうに走って逃げた。
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