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 僕らはみんな、早くに親を亡くしたり親から離れ離れにさせられた子供だった。だから、デイビッドの話にみんなすぐに食いついた。 「なんだよ、そんなのあるのか?」  8歳になるトムが目を輝かせて、遊んでいたトランプを置く。デイビッドは八重歯を見せながら笑い、こくりと頷いた。 「それ、ママにも会える?」  母子家庭で育ち、母を事故で亡くした姉妹のキャシーとエミリーもトランプを置いて話に加わる。  僕も興味がないわけじゃない。でも、特に死んだ人で会いたい人もいなかったから、読んでいた本に目を戻した。もちろん聞き耳は立てたまま。(僕はどこに行っても一人ぼっちだった) 「教えてあげようか?」  デイビッドがくすくす笑う。うんうん、と3人はデイビッドを取り囲んだ。
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