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「トム、どこに行っちゃったのかしら」  キャシーが心配そうにマグカップに視線を落とす。朝になり、昼が過ぎ、夜が来てもトムは帰って来なかった。眠れない僕らに、シスターがホットミルクを淹れてくれる。僕らはそれを啜りながら、トムの帰りを待っていた。  不思議なことに、なぜかデイビッドも帰ってこなかった。だから部屋には僕と、キャシーとエミリーしかいない。 「トム、ゆうれいに連れていかれちゃったのかなあ」  エミリーがクマのぬいぐるみを抱きしめ、ぽつりとそう言う。やめなさいよ、と震える声でキャシーがたしなめた。
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