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さて。
だからこそ。
あの小娘から、王を引き離さなければ――。
「本当に、あの小娘のことがお気に入りのようですね。若いというだけで、そう取りえなどないように思えますが。ドンレ様はいかがお思いです?」
邪念にふけるドンレの耳を、若人の声が突いた。
女官長の私室だと言いたげに、グソンの身のこなしは、儀礼ぶり、先ほどとはうって変わって、よそよそしかった。
ドンレは、ゆっくりと身をおこし、床に垂れる帳越しに愛妾を見る。
「だが、それこそ最大の武器であろう?男にしてみれば、女は若いほどいい。そうだろう?」
意味深なドンレの視線を避けるかのように、グソンは窓辺に身を移し、外の風を通した。
「若い。それだけでしょう?そんなものすぐに飽きます。私はあなた様のように、深い女人にそそられますが?さて、今日は、少しばかり汗をかきましたな。風が心地いい」
歯が浮くようなグソンの言葉を受け、ドンレは思わず顔を伏せた。
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