一章「三」

7/14
前へ
/201ページ
次へ
――ウォルは、ジオンの美郎兵として、長年側に仕えていた。 このあたりでは、小姓と呼ぶようだが、ジオンが元々治めていた土地には、幼少の時より自分が育てあげた青年を、側に置く習慣があった。 王の威厳を際だたせる為の役目であるが、往々にして、情が加わり、王の寵妾となる運命をたどる。 もちろん、ウォルもジオンにすべてを捧げていた。それが、誉れであり、ウォル達にとっては、特に驚くことではない。 ただ、この地では、男色家と色眼鏡で見られるため、ウォルの素性は伏せられていた。
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

119人が本棚に入れています
本棚に追加