一章「三」

11/14
前へ
/201ページ
次へ
「やはり、ここでしたか。ミヒ、私の食事はどうなったのでしょうね?」 戸口にウォルが立っている。 「さあ、いらっしゃい」 ウォルが手を差しのべた。 ユイは、そっとミヒを押し出す。 分を守らなければ、ここですこやかに暮らすことはできない……。 常にユイは、ミヒに言い聞かせている。それが、彼女の立場なのだと。 乳母に心配をかけまいと、ミヒは重い腰を上げ、ウォルの後に続いた。 回廊を渡りながら、ウォルはミヒを伺うが、ぷいと顔を背けるミヒをみて、ウォルは笑った。
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

120人が本棚に入れています
本棚に追加