一章「三」

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(……見て、お花……きれいね) 花が綺麗だと言葉を発したミヒを、ジオンはためらいなく抱き上げた。 ウォルの脳裏に昔の記憶が駆け巡る。 「ウォル?ジオンは、帰ってしまったんでしょ?」 ミヒの声で、ウォルは我に返った。 「ミヒはお利口さんだね。……でも、安心して。ジオンは、すぐに戻ってくるから。本当だ」 結局、またジオンを彼女から取り上げてしまった……。 宮殿は、来月の成婚の儀式の準備で、目まぐるしく動いていた。 女官長も含め、重鎮たちに、王と相談したいといわれては。
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