一章「三」

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そして、ジオンは、ウォルの立場を読みとり、帰ってしまった。 面倒なことを済ませてまた戻ってくればいいだろうと、板挟みにあうウォルに微笑みかけたのだった。 自分が来たことで、ジオンは帰った。 余計なことをしてしまったと、ウォルは己を責めた。 部屋に戻ると、食事の支度はできていた。二客の磁器が並んでいる。 本当は、ジオンとミヒのために配されるはずだった器……。 ミヒは黙って席に付くと、用意された粥を見た。 しょげかえるミヒを前にして、ウォルの胸はいっそう締めつけられた。
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