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「どうか、お待ちを」
息を切らしながら、女官長が駆け寄ってきた。
ジオンは、このドンレが苦手でならない。
後宮へ足を運べと小言を言われるのもだが、ジオンの父親の時代より使えている官であるため、頭が上がらないのだ。
この地に都を立てた時も、嫌がりもせず従って来た。国の礎を作った一人と言えるだろう。
「正妃を迎えられても、あちらへ下がられるのですか?まさか、婚礼の日も下がるおつもりではないでしょうな?」
正妃となる娘は、たしか十六とか。ミヒとそう変わらない娘を抱けるわけがない。
だが、国と国との約束事、破棄するわけにはいかない。
めとって様子をみようと、甘い考えでいたが、こうも、ドンレに詰め寄られると、どうしたものかとジオンは困惑を隠せない。
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