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「機嫌を直してくれないか?宮殿へは戻らないから」
「……戻らないの?」
「ああ、しばらくここにいるつもりだ」
「宮は?政は?」
「お前が心配することではない。私がいるのは迷惑か?」
言った時には、ジオンの指先はミヒの懐の中にあった。
がっしりとした腕の中には、明かりに照らされるのが恥ずかしいと、顔を背ける華奢な少女がいる。
――至福の時は、蝋燭の明かりに守られ流れて行く。
朝の光が加わるころには、二人は重なりあって、まどろんでいた――。
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