一章「二」

3/9
前へ
/201ページ
次へ
すがすがしさ――。 張りのある肌――。 密会するたび、ドンレは、男の若さに溺れていった。 それだけ自分が歳をとったということなのか。 ドンレはあらゆる若さに、嫉妬していた。 ――かの屋敷から花信が届いた時も……。 煮え湯を飲まされたような、腹立ちを覚えたものだ。 そして――。王の足は、後宮から離れきっている。 王が後宮に寄り付かない。それでは、次位はどうなる? 王には、子がない。 空席を狙い、血気さかんな家臣が、反乱を起こすかもしれない。 男とはそういうもの。隙あらばと、立身出世を狙っている。 このまま、外の人間に王座が奪われてしまったならば、ああ、今ある栄華など、簡単に消え去ってしまうだろうに。 だからこそ、後宮に。王子を……。 一度上り詰めた地位を、ドンレは失いたくなかった。
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

120人が本棚に入れています
本棚に追加