5.物語の終わり

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5.物語の終わり

 翌朝のこと。  姿の見えない二人を探して地下礼拝堂(クリプト)に下りた者たちは、棺の中に横たわる二人を発見した。『どうか開けないで』という手紙と共に。  マリアも、リベリオも、息絶えていた。  互いに手を取り合い、直前まで口付けを交わしていたかのように、頬を寄せたまま。  二人の遺体を調べようとした科学者たちは、封印された蓋の隙間から未知の病原体を発見した。それがどこからもたらされたものかはわからないが、間違いなく、人体に侵入すれば死を招くとのことだった。  マッダレーナ・マッジョーレ教会の者たちは慟哭した。  奇しくも、彼らは前の晩、乙女のものと思しき歌声を聴いていたのだ。  あれはきっとマリアによる第三の奇跡が行われた瞬間であった。乙女はその聖なる歌声と、聖なる肉体でもって、恐るべき病原体から人類を守ったのであろう。  いや、マリアだけではなかったか。  マリアと、リベリオと。禁じられるべき二人の愛が、人々の命を救ってくれた。
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