5.朝

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春香は3回イった。処女の絶頂はじつに見ごたえがあった。無垢と淫乱のせめぎあいは芸術的でもあった。 僕は童貞で、春香自身も処女のままだった。 すごくよかったよ。健太郎君――じょうずなんだね。 昨晩から三度目のシャワーを終えた春香がドレッサーの鏡を覗き込みながら言った。 ()められてうれしくないことはなかったが、僕の心はわだかまっていた。 「オレ、春香の初めての男になりたかったんだ。でも、まだ……」 「そうだよ。憲太郎は私の初めての男だよ。こんなに気持ちよくしてもらってありがとう。憲太郎って本当に優しいんだね。大好きだよ」 春香は無邪気に喜んでいる。 「でも、キミはまだ処女のままで……」 「憲太郎は童貞のままだね。くくく……」 「だから、もう少し時間あるから……」 「わたし、もう行かないと」 「でも、オレもキミも童貞と処女のままだし……」 「昨日射精したんだよね?  あれで満足でしょ?」 「いや、オレはキミの中に出したかったんだ。一緒に卒業したかったんだ」 「そんなことしたら、わたしたち、おともだちじゃなくなっちゃうでしょ?」 「え……、あ……」 「高田さんに迷惑かかっちゃうから、わたし先に出るね」 僕は下半身で(たぎ)っていたものがたちまち()えていくのを感じていた。 ――おともだち……かぁ。 まあ、いいか……。ともだちである限り、またこうしてホテルで抱き合うこともできるだろう。そのうち春香に童貞をささげる日もきっと来るだろう。 掛け布団の下に春香のピンク色のショーツがあった。クロッチに縦に細長いシミが残っている。僕はそれをこっそり拾い上げ、ベッドの下に脱ぎ捨ててあったジーンズを畳むふりをしながら、ポケットに忍び込ませた。 ――このぐらいのことは大目に見てくれよな。記念品として大事にさせてもらうぜ。 「あれ? 憲太郎、私のパンツ知らない?」 「ん?  知らないよ」 「取ったでしょ?」 「うん。食べちゃった」 僕は服をもって素っ裸のままシャワールームに向かた。 あちこち探し回っても見つからない春香は、とうとうあきらめのだろうか。全面ガラス張りのシャワールームから、春香がノーパンのままミニスカートをはくのが見えた。 何も心配する必要はないさ。ともだち同士、そういうことはよくあることなんだから。それに彼女は賢明な女じゃないか……。 <了>
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