止まない雨、止まらない猟奇

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その女の今まで 更に、辻合が重い腰を上げたのには、今回の被告、郡氷子を舐めてかかれない相手だと痛感したことにもあった それは桜木からあの女の”今まで”を聞けば聞くほど… *** あの女のベールを剥がすのが恐い 桜木正樹の心境は正直、これ以上その女を知りたくなどなかった 最初は仰天のレベルで留まっていたが、今は寒気がするほど恐ろしい… 彼が知った郡氷子の”今まで”… それはそれはおぞましい限りだったのだ *** 「…じゃあ、郡氷子はその時得た金を、今使いまくってるってことになるのかな」 「辻合さん、ものの3年ですよ。可能なんですか、そんなの?」 「グレーゾーン撤廃以前は、正規の貸金業者もぼろ儲けでしたからね…。ましてヤミ金ならねえ…」 問題はぼろい金利と合わせた元金を回収しきれるかどうか… 弁護士の論点の突きどころは端的だった 「まあ、それができりゃあ、これ以上おいしい商売はなかったでしょう、その当時は…」 「それをできたあの女は、その莫大な稼ぎを本能に任せての浪費に回していると…」 ”恐ろしい、なんと恐ろしい…” 桜木の心は恐怖心でブルブルと震えていた *** 郡氷子、29歳…。 貸金業法におけるグレーゾーン撤廃以前に違法な闇金業で莫大な利ザヤを得、稀代のイカレロードを爆走、積年鬱屈させていた凶暴マックスのサガは今、制御不能のラストシーズンを迎えようとしていた…。
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