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告白①
「知ってるくせに…。おじさん、なんでそんなに残酷なこと、私に言わせようとするの?」
”グス、グス…”
ここでツグミは俯いて、バッグからハンカチを取り出し両目を拭った
「…ああ、ごめん。おじさんが悪かった。言わなくていいよ」
「うん…」
”俺はなんて無神経な男なんだ…。もういい、今度はこっちが話す番だ…”
桜木は自らの告白タイムを決断した
***
「ツグミちゃん…、続けてだけど、もう一つ君に謝らなきゃならないことがあるんだ」
「なーに?」
「おじさんの名字、木村じゃないんだ。お姉さんのことがあるから、君にも初対面で警戒してた。正直ね。それで偽名を使ったんだ」
「そうですか。そりゃ、あんな恐ろしいお姉ちゃんを持つ妹だもん、警戒して当然ですよ」
「じゃあ、許してくれるかい?」
「はい」
「ありがとう。…じゃあ本当の名前を言うね」
このあと桜木は本当は桜木という名だと告白した
***
ツグミは「そうですか」としか言わなかった。
”でも、次の告白したら、取り乱すだろうな…”
「僕には弟がいるんだ。ちょうど君たちくらい年の離れた、異母弟が…。名前はケンだ。桜木ケン…」
「まあ!」
彼女は目をまん丸にして、そのズバリ驚いていた…
桜木正樹にはまさしくそう映った
「同級生だよね、ケンとは…」
「そこまで知ってたんですか、おじさん…」
”さあ、告白第3弾だ…”
「すでにリサーチ機関で郡氷子さんの周辺調査を済ませていたんだよ」
「あらら…」
***
ツグミのリアクションは、桜木には予想外のものだった
彼は拍子抜けしたが、正直、ホッとした
「ごねんね。裏でこそこそ嗅ぎまわるようなことしてて、それを隠して君から話を聞こうなんてね…。なにしろ、裁判の相手になるお姉さん自身が凄い状況だったんで…。あの弁護士にも相談してて…、キミと会う段取りも頼んでね。情けないが恐かったんだ」
「いいですよ。おじさん、結構いい人ですね。ああ、兄弟そろって…(クスクスと笑う)」
ツグミの後段の言葉は桜木にとって聞き逃せなかった
当たり前である!
”中学に入って早々、自分に○姦まがいなことをした弟のことを、いい人って…”
普通はあり得ない反応に、桜木は複数の意味で唖然としていた
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