運命の別れ道

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「模試が悪かったから、落ち込んでるのか?」 拓が無神経に、私の瞳をしっかりと見据えながら言った。 「……ほっておいてよ、私ってば何やっても中途半端なんだからさ」 中途半端じゃないと拓に慰めて欲しかった。拓というか、誰でもいい、誰か一人に否定して欲しかった。 拓はちょっと困った顔をして、真っ青な空を眺めていたけれど、何か思いついたように私の方を見直した。 「俺は柔道一筋だ、柔道が好きだからな。一日中柔道のことばっかり考えてる。みのりもやるか?」 「やるわけないよ」 拓の余りに馬鹿馬鹿しい解答に、思わず吹き出した。 そして拓と顔を見合わせて笑い合った。 「遅刻しそうだから、もう練習行くよ」 拓は路肩に雪が残る通学路を走って学校に戻っていく。 彼の後ろ姿を眺めながら私はやっぱり拓が好きなのだろう、そう考えていた。 白い大きな息を吐いた。 最近、1日の中で唯一の息抜き、ランチタイムが最近息苦しい。 亜紗美が今日は無邪気にこんな話題をふってきた。 「ねぇ、今度また拓大会あるんだって、一緒に行かない?」 「ごめん、その日また塾の模試なんだ」 亜紗美は残念そうに、口を尖らした。 「そっか、じゃあしょうがないね。違う人誘ってみようかな」 「ごめん、1月から入学試験始まるからさ、毎週何かあるんだ」 わざと忙しいアピールをした。 模試なんか塾内のだから、いくらでも違う日に受けられるのに。 これ以上、拓に関われない。 というか関わってはいけない。 卒業まで後3ヶ月。 拓の笑顔を見られるのも3ヶ月と少し。 1日、1日を胸に焼き付けよう。初恋の人なんていずれ甘い思い出に変わる。 不思議とそんな一般論が私にも当てはまるような気がしていた。
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