生まれる前の誕生日会

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「じゃあ、これ」 そう言いながら、河野が、テーブルに裏返しに置いていた紙を古木に渡した。 紙を見ると、『寿』という字が一文字だけ書かれていた。 「何だよ、これ ?」 「ハッピーバースデイの楽譜だよ」 「・・・確かに、楽譜っぽく見えるけど ! ・・・寿だから祝い事にはぴったりだし・・・」 二人が、そんなやり取りをしている間に、里奈はロウソクを差し終え、部屋の明かりを消した。 「さん、はい !」 「ハッピバースデイ、トゥーユー・・・」 里奈が合図して、お腹を見つめて摩りながら歌い出した。 河野も、里奈のお腹に向かって歌い出す。 しょうがないので、古木も、それに続いた。 これからも、子作りをする度に、誕生日会をやるんだろうか。 次は、絶対に断らないとな。 そうだ、帰りに、ご祝儀取り返さないと。 古木は歌いながら、そんな事を考えていた。
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