生まれる前の誕生日会

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「ここには・・・まだ居ない」 「まだ居ない !?」 「ああ」 「まだ居ないって、どういう事だよ」 「俺、考えたんだよ」 「何を ?」 「普通、子供の最初の誕生日会って一才の時だろ」 「まあな」 「生まれて一年も経って初めての誕生日会って、遅過ぎないか ?」 「まあ、でも、生まれた時はゴタゴタしてるからな。しょうがないだろ」 「いや、遅過ぎるって」 「そんな事ないだろ・・・じゃあ、まだ生まれたばっかりで、病院に居るっていう事か」 その時、ガチャッというドアを開ける音がして、 「ただいま」 河野の妻の里奈が、リビングに入って来た。 その腕には、赤ちゃんではなく、ケーキの箱が抱かれていた。 「ああ、古木君。いらっしゃい」 「こんばんは・・・あれっ ? 赤ちゃんは ?」 古木は、不思議そうな顔で聞いた。 「えっ、まだ話してないの ?」 里奈が、河野を見ると、 「実は、さっきの話には続きがあって・・・」 河野は、里奈の視線に促される様に、古木に向かって話し出した。 「何だよ ? 続きって」 「生まれて一年も経って初めての誕生日会って、遅過ぎるって言ったけど・・・よく考えたら、生まれたばっかりでも遅過ぎると思うんだよな」 「生まれたばっかりでも遅過ぎる ?」 「ああ」
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