カウントアップ

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 そんな中でひとつだけ彼女が作った曲があった。『羽撃き』というタイトルの激しいロック。理不尽な社会と、それを作る大人たちへの暴言の詰まった一番。現実を嘆く二番。変わらない社会の中で、失くしてはいけない大切なものを歌った三番。曲の出来に関してはよく分からないけど、込められた悲痛な願いだけはひしひしと感じられた。  表面ばっかり取り繕って偉そうにしてる大人はクソほどカッコ悪い。大人になりたくない。社会は理不尽だ。ぶっ壊してやりたい。でもそんなことはできっこない。時間の流れも止められない。せめて私が私のままでいられたら。何かに抗える翼を抱えたまま生きていきたい。パワフルな姿からは想像もつかないほど純粋でささやかな思いが綴られていた。  モラトリアムと、迫り来る子どものデッドラインを受け入れる覚悟が両立した歌詞は、今も昔も僕に勇気を与えてくれている。会社でへこへこ周りの顔色を伺っていても、僕はちゃんとここにある。たったそれだけのことが、とても偉大で素晴らしいことのように思えた。
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