3章-②

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3章-②

   専門用語が飛び交うチャットの会話についていけない。  電車の形状なんて言われても全くわからん。  何が初心者大歓迎だ。 「あぁ、これは特急列車”おばな”E261系ですね」  掲示板に投稿された写真――白を基調とし、運転席の頭には水色のような空のような線が入っている。  隣で先輩が解説してくれるだけでもありがたい。  撮り鉄始めたばかりで友達がいないので、ぜひそちらに入りたいと言ったらあっさり入れた。 「まぁ、ここは来る者は拒まずスタンスですからね。入ろうと思えば誰でも入れますから」 「そうなんですか。僕、本当に電車に疎いので……」 「大丈夫ですよ。分からなかったらどんどん私に聞いて下さい」  が肩を叩いてPCの画面を一瞥する。 「おー、これは、昔のスーパースピカですね。今は紫と茶色を足して二で割ったような色ですが、当時は白で朱色の線が入ってました。もう数年前にリニューアルして……」  まだまだ先輩の解説が続きそうだ。  掲示板の投稿をたどっていくと、皆似たりよったりな撮影をしているようでならない。 「……これ、どこで撮ったんでしょうかね?」
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