3章-②

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 七つ星駅だ。でも、明らかに”普通の場所ではない高さ”だ。  全体がなんとなく豆粒のように見え、車体の上が主役のような。  駅のホームにいる電車待ちの乗客や塾や学校の広告が小さく見える。 「確かにこの高さ……一体どこで撮影されたのでしょう? もしかしてながーい脚立を持ってきた、はたまたどっか登ったとか……」 「これもまずいんじゃ……」  今度は電車の運転席側がかなり目立つ様に撮影されたものだ。まるで拡大されたかのように。  しかもこれが一枚ではなく複数枚だ。  そのうち何枚か、撮影者本人が写り込んでいる。おそらく仲間で撮りあったか、自撮りをしたかだろう。 「この角度……もしかして線路に入ったとか?」 「せ、線路?! それ危ないんじゃないですか?」 「当然です。いつでしょうかね」  日付けは五月一日の十時台。 「この路線の遅延を調べてみましょう。ミザール線ですね」  ネットで運行情報を検索するとあっさりでた。  呟き用SNSにその場に居合わせた人と思われるひとの投稿が残っていた。
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