2×××年――  リオナとリョウ

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 男達がパトカーで連行され、ジュリアとサーヤの姉妹も念のために病院へと向かった。  リョウとリオナの2人が残される。ゆっくりと歩き出した。  「今ので何人目だっけ、今日逮捕したの?」  リオナが訊いた。  「さあ、忘れちまったよ。30人以上はいたのは確かだけど」  「こんな状態が、ずっと続くのかな? いや、もっと酷くなるのかもしれないわね」  「ああ。何しろ、この先に救いなんて待ってない。滅びていくだけなんだから。人の心もどんどん荒んでいくだろう」  「リョウ……」リオナが彼の顔を見つめる。「あなたは、なんでノア計画に参加しないの? 別に健康上の理由も、何か引き留めるような状況もないでしょ?」  「そうだな……。この先おそらく治安は悪化し続ける。そのために、弱く善良な人達は生きづらくなっていくだろう。ただでさえ環境が悪化していくのに、それにくわえて犯罪の嵐じゃあつらすぎる。別に正義の味方を気どるつもりはないけど、最後の最後まで警察官として全うしたい、っていうところかな? 俺にとって、刑事っていうのは仕事じゃなくて生き方なんだ」  そう言うと、どこか気恥ずかしそうにリョウはそっぽを向いた。  「ふふ……」リオナは微笑む。「やっぱり、そうか」  「やっぱり?」  「私と一緒だなぁ、って思った」  「いや……」リョウは一旦目を伏せる。そして、何かを決意したようにリオナを見た。「一緒じゃないよ。俺は、君を見てきてそう思うようになったんだ」  「え?」  戸惑うリオナ。  「君は、いつでも市井の人達に寄り添い、正義を全うしてきた。君こそが、刑事という生き方をしていた。俺は、そんな君の姿を見て憧れていたんだ」  「リョウ……」  「リオナ、俺は君が好きだ。人類が滅びるその日まで、一緒にいてくれないか? 死ぬときは、一緒に死にたい」  リョウが立ち止まり、しっかりとリオナを見つめながら言った。  リオナの美しい瞳から、ぽろりと一つ涙が落ちた。  2人、自然と寄り添い、そして唇を重ねる……。  汚れた空にも、月の明かりが微かに見えた。それが今、一つになったリョウとリオナの姿を照らしていた。
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