今は亡き相棒の忘れ形見が夜ごと迫ってくるのだが

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 それ以来、口を開けば結婚、結婚……口うるさいのはさておくとしても、何せ彼女は油断がならない。最近では既成事実を作ろうと躍起になっている節もあり、彼女を預かる身としては生きた心地もしない毎日だ。  今だって何を企んでいるか知れない。  訝しむ彼のその前で、ケイトはわっと泣き出した。 「私もう、ヴィニーと結婚できないかもしれない!」  ようやく好きな男でも出来たのかと思いきや、その顔色は恋の薔薇色とはほど遠く。あまりに悲痛なその様子に訳 を聞き出そうと試みるが、激しく泣きじゃくっていて話にならない。 「何があったかしらねぇが、ちゃんと話を聞いてやるから、ちょっと落ち着けよ、な?」  頭を撫でるとケイトは小さく頷いた。  しゃくりあげながら話しだす。 「今日ね、学校で友達に言われたの」 「うん」 「大人になったらみんなあそこに毛が生えるんだって」 「うん!? おっ、お前らは学校で一体何の話をしてるんだ!」  だが、そんなヴィンセントのつっこみはケイトの耳には届かない。深刻そうな顔つきのまま話を続ける。
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