今は亡き相棒の忘れ形見が夜ごと迫ってくるのだが

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 控えめに覗くピンクの花弁に目が霞む。  甘酸っぱい彼女の香りがヴィンセントの雄を痛いほどに刺激する。 「大丈夫、変じゃないさ。大体こういうもんはな、顔と同じで一つとして同じものはねぇんだ。他人と比べるなん て馬鹿げてるってもんさ」  なんて偉そうに嘯いてみるが、こうなってくると、最早自分が何を言っているのかさえ定かではない。 「でも……」 「でもじゃねぇ」  欲望に流されるまま、白い膝に手をかけて、ぐいと大きく脚を割る。 「ケイトのここは綺麗だよ。色だって、形だって申し分ない」  その言葉に嘘はない。  比べるのも馬鹿らしい、先程そう言ったばかりだが、事実ケイトの秘めた華は、彼の知りうる誰よりも綺麗だった。男を知らないその部分は乱れることを知らず、朝露を湛える薔薇のような清らかささえ感じられる。 「それに、感度だって――」  薄桃の花弁を探り、指の腹で先端の尖りをゆっくりと押しつぶせば、細い体は素直に震える。恥ずかしげに指を噛 み息を殺すその姿が、彼の眼にどう映るのか、ケイトはきっとわかってはいない。
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