今は亡き相棒の忘れ形見が夜ごと迫ってくるのだが

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「そうか、夢か」 「……」 「……」  ――あれ、なんか俺、もしかしてがっかりしてる?  いやいやいや、と首を振る。  いくらケイトが真剣にプロポーズしてきたところで、所詮彼女は18歳。まだまだ子供だ。   子が親に抱く独占欲を恋と錯覚しているのは彼の目から見ても明らかだ。ケイトの悩みを吹き飛ばすべき男が自分ではないことぐらい、ヴィンセントだって心得ている。もし明日、ケイトが結婚相手を連れてきたとしても、笑顔で受け入れる覚悟くらい――。 「……いや、それはちょっとイヤだな」  ちょっとどころではない。もし自分の目の前でその男がケイトに指一本でも触れようものなら、きっとその指を一 本一本、丁寧にへし折ってやることだろう。  他の男がケイトに手を出すなんて、そんなこと絶対に許せない。だからと言って、自分がケイトのプロポーズを受け入れられるかというと、そうではない。自分はあくまでも保護者。ケイトの家族だ。家族なら「父」として「娘」の幸せを見守るのも当然の務めだ。娘に悪い虫がつかないように目を光らせても何らおかしくはないではないか。  ああ、でも、これは。  この気持ちは、保護者としてというよりむしろ――。
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