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確かに自分達の間には血の繋がりはない。養子縁組もしていない。親子というにはちょっと歪な関係ではあるが、それでもケイトにはそれと同じくらい、彼なりに愛情を注いできたつもりだ。
それを結婚がどうなどと、冗談にもほどがある。
「急にどうしたんだよ。もしかして、なんかあったのか?」
「何かあったのはヴィニーのほうでしょ」
「俺?」
はて、と首をかしげる。
「だってこの間、また彼女に振られちゃったんでしょう?」
「ふっ……!!」
突然のことに上手く言葉が続かない。
確かに、つい先日ヴィニーは付き合っていた女に振られた。それは間違いないのだが――。
「お、お前、なんでそれを……」
この件に関しては、ケイトに一切、何も告げてはいないはずなのに。
ケイトはぷん、と頬を膨らませたまま腰に手を当て、動揺する彼を見据えた。
「まったく、今年に入って一体何人目? ヴィニー、このままじゃ行かず後家になっちゃうわよ」
「行かず後家ってお前な、それは姐さんに言ってやれよ。俺は独身貴族! 結婚できないんじゃなくて、しないの!」
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