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「どっちも同じ事じゃない。ヴィニーったら、もてるのにちっとも長続きしやしないんだから」
まったく、ケイトに窘められるなんて、男として、保護者として、面目丸つぶれもいいとこだ。
はぁ、と溜息をつき項垂れる彼の手を、ケイトがもう一度握りしめる。
「だから、ね」
「ん?」
「ヴィニーがおじいちゃんになっても、わたしがずっと傍にいてあげる。わたしが、幸せにしてあげる」
――ああ、そうか。そういうことか。
ヴィンセントの不機嫌そうに歪んだ顔から一気に毒気が抜ける様を見て、ケイトが楽しそうに笑った。
明るい、素直なケイトの笑顔。
つられて緩んでしまった自分の頬を咳払いして引きしめる。
「そんな心配しなくても、俺は十分幸せだからいいの」
「えーっ!」
「えーっ、じゃない」
ヴィニーは大きく腕を組むと、諭すようにケイトを見つめた。
「傍にいたいなら、そうすればいい。お前の気がすむまで、ずっとここにいればいい」
「……ホントに?」
「何言ってんだ、当たり前だろ。俺たちゃ家族なんだから」
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