4人が本棚に入れています
本棚に追加
「葵は、いつまでここにいると?」
「うーん…あと3日かな〜」
「…あと、もう少しか」
日向は寂しそうな顔をしながら言った。本当は私だって…寂しいよ。
蝉の鳴き声すら聞こえない、今は存分に鳴いてほしい。
二人だけの図書館。私達は、話すことなく隣同士に椅子に座っていた。
すると突然、日向は私の手を掴んだ。
「わ!」
思わずそんな声を出したが、一番驚いていたのは日向自身だった。
なぜ当の本人が驚くんだろ…。
「ねぇどうしたの日向?」
「あ……」
日向は少し照れながら、下を見る。
「手…繋げると思えなくて」
「…どういう事」
私も照れながら、つないだ手の意味を聞いた。
日向は私の顔を見ながら、口を開けた。
「繋ぎたくても、繋げないと思ってたから」
「…それって…どうい」
「暑い!!」
日向はバッと手を離した。
そしてブツブツと「あー暑い暑い」と手で顔をあおいでいた。
「なんで話しちゃうのー?」
もう少し繋いでいたかった。なんでか知らないけど。
「暑い!あと照れる!無理と!」
日向は後ろを背に大声でそう言い、そしてくるっと顔を私の方へ向けた。
「繋いでいい!?」
大声で聞いてくることかね。私はクスッと笑い、それは大笑いに変わった。
肩を震わせながら、私は手を差し出した。
「いいよ!今度は私はいいって言うまで離さないからね」
そして私達は、静かに手を繋いだ。
あーあ…なんでセミなら鳴かないのかな。
最初のコメントを投稿しよう!