捨て猫 vs 捨て男

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冬の夜は寒い。 お腹もペコペコだ。 皆、忙しそうに速足で通り過ぎる。 一人の爺さんが、一度は通り過ぎたが戻って来て 「あんた、捨てられたの?」 と俺に聞いた。 「はい。子猫といっしょに拾ってもらえませんか?」 「にゃぁ~」 俺と子猫は爺さんにお願いした。 「ワシだけならいいが、あんたらを拾って帰ったら、多分、ワシも婆さんに捨てられる。そうなったら、ワシまで段ボールに入れてもらうことになる。ダメもとで試してみるかね?」 爺さんは、ヨボヨボと杖をつきながら俺たちの段ボール箱の周りを歩き回ってゲホゲホと咳をした。 「いえ。ご迷惑でしたら結構です。寒いですから、どうぞお早く家にお帰り下さい。」 爺さんは立ち去った。
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