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きれいに和装した水商売風の中年の女と目が合った。
「ちょっと・・・何なの・・・捨て猫はわかるけど。捨て男って!」
女は少しイライラした口調で俺に八つ当たりするみたいに言った。
「申し訳ございません。そのまんまです。俺と子猫は不要になったので捨てられたんです。」
「あなた役立たずなの?」
「さあ。もし拾っていただけるなら頑張って何でもします。」
「にゃぁ~ にゃぁ~」
「キモ! 第一、私、猫アレルギーなの。」
「じゃあ、俺だけでもいいんです。」
「にゃぁ・・・ゴロゴロゴロ・・・」
子猫は俺の目を見上げて喉を鳴らした。
「ヤバ・・・ムリムリ。ああヤダヤダ。明日の朝、ここで凍え死んでたらどうしよ・・・考えただけで気色悪い。」
女は、そう言って速足で立ち去った。
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