捨て猫 vs 捨て男

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寒さに凍えながら夢を見た。 あたたかい部屋で俺は女の髪を撫でていた。 子猫は女の膝の上で丸くなっていた。 女が寝てしまってから女の部屋を掃除した。 子猫は女の布団の中に潜り込んでいた。 女が急に泣き出したら俺は黙って女を抱いた。 子猫は少し離れて知らないふりをしていた。 「なんかもう、いいかなぁ・・・」 女は急に、そう言った。 「子猫といっしょに捨てちゃおうかな・・・」 俺は、驚いた。 俺は、悲しくなった。 俺は、涙を流した。 「ウソ泣き、やめて。本当は悲しくないでしょ。」 女は勝手に、そう決めつけた。
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