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 真っ黒になった画面に綾の顔が反射する。ナメクジのような大きな唇が白い鼻のしたのっぺりと寝ている。 (生まれ変わりたい……)  綾は今年で高校生になった。友達もそれなりにいるし、外では明るく振舞っている。顔面についてボケるとみんな笑ってくれるので、調子にのってボケ続けている。傍からみれば、とても幸せに見えるかもしれない。 でもそれは、綾が15年間生きてきた中で身に着けた彼女なりの振舞い方だった。みんなの中で居場所を作るために、自分の顔に相応しい役を演じているだけだ。 (私みたいな顔は、主人公にもヒロインにもなれない。だけどもしも願いが叶うなら、生まれ変わって主人公に相応しい顔になりたい)  憎たらしい両頬をつねりながら、綾は天井を見上げた。明日も学校だから早く寝よう。
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