1月

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[21日]  大寒(だいかん)の夜。地元駅の改札を抜けて、飲食街に足を進めた。豚カツ屋(兼居酒屋)の暖簾をくぐった。カウンター席は全て埋まっていた。諦めて出ようとすると、女将さんが「ここ(テーブル席)でもいいですよ」と云ってくれた。同店は客の扱いがまことに丁寧である。人気の理由のひとつだと思う。どんなに料理や酒が旨くても、ギスギスした雰囲気の店は嫌なものだ。やたらに威張り散らす亭主も最低だが、それを喜んでいる客も、まあ、アホでしょう。  食前に清酒(熱燗)三合を呑んだ。酒肴は冷奴と烏賊のバター焼き。酒の後に豚汁とキャベツの漬物で飯を食べた。代金は二千円でお釣りがくる。まったくありがたい。家に戻り、温水を浴びた。歯を磨いてから、布団に潜り込んだ。  ライバルが手を結ぶ日(料理番組の日でもある)の朝を迎えた。洗顔後、台所の電気ケトルにミネラル水を注いだ。沸き立ての湯で、即席コーヒーを淹れた。カバヤ社の「香ばしいアーモンドチョコレート」を食べながら、熱いやつを飲んだ。  電子メールを一通飛ばしてから、身支度を整えた。数日分の衣類を担いで、近所のコインランドリーに向かった。ドラム洗浄をやってから、担いできたものを放り込んだ。料金はカードで払った。所要時間は約30分。  テープに録音したマーチンの番組を聴きながら、バルコニーの竿に脱水ものを吊るした。作業後、再び外出した。階段を下り、駅の方角へ歩いた。飲食街に足を進め、居酒屋の暖簾をくぐった。五ランチの一、鱈鍋定食を注文した。期待を超える立派な鱈鍋だった。これで780円とは「まさに安い…」と感激する。。酒が欲しくなったが、懸命に我慢した。昼間の飲酒は慎んでいる。 ♞スパイ大作戦の「奴を証人席へ!」と「ガラスの監房」を観る予定である。 0d5447ec-4126-4c9d-94c7-31f31b09f89e [22日]  歯を磨いてから、うがい薬を溶かし込んだ水道の水で口中をすすいだ。居室に戻り、ポータブルDVDプレーヤーの電源を入れた。自動的に『スパイ大作戦』(シーズン3の4枚目)の再生が始まる。同盤には「欺瞞作戦」「生体実験」「奴を証人席へ!」「ガラスの監房」の計四篇が収録されている。どれも面白い。脚本もよくできているが、それを巧みに映像化するスタッフとキャストの技量手腕も大変なものである。当時(60年代後半)の撮影所には、劇中の主人公たち同様、各部門の精鋭(プロフェッショナル)が揃っていたのだろう。  眼が覚めると、カレーライスの日(※ジャズの日、飛行船の日でもある)になっていた。洗顔後、身支度を整えた。施錠後、あかなめ食堂に走った。同記念日にちなんで、亭主が福島県(ほか)の郷土料理〔ほっきカレー〕を作ってくれるのだった。但し、数量限定なので、早く行かないと食べ損なう恐れがある。  暖簾をくぐると、先客の姿が見えた。ピグモン、カネゴン、ブースカの三珍獣が〔東京風あんこう鍋〕を食べながら、大いに呑(や)っていた。  彼らの呑みっぷりに触発されて…というわけでもないのだが、名物カレーを味わう前に俺も一杯やることにした。亭主自ら、俺の茶碗に清酒(あちらの地酒)を酌み込んでくれた。いっしょに〔ちくわきゅうりとちくわチーズ〕を出してくれた。感謝以外に言葉はない。  早速、箸立てに指先を伸ばした。途端、あの極度に耳障りな哄笑の波動が、店全体に響き渡った!古代バビロニヤの大悪魔、吸血妖怪ダイモンの笑いであった。そして、が、埋め込みテレビから発せられていることに気づくまでに数秒を要した。ダイモンは自慢の怪力で「テレビの内側」を突き崩すと、店内に禍々しく躍り込んできた……。  夕刻。近傍の中華料理屋に足を進め、テイクアウト商品を二つ買った。帰路の途中、スーパーに寄り、鮮魚売場と甘味売場を眺めた。欲しいものを篭に入れ、勘定場に運んだ。酒飯の後に『陽だまりの樹』の第2話を観るつもりである。 ♞ブラックニッカの鉱水割り。メバチの刺身と揚げニンニク。回鍋肉弁当。
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