一話〜十話

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七話 冒険者ギルド ふっふっふ今日はいい気分だ!昨日はムカつくメイドに仕返しをし、今日は習い事なんて何もない!ならばやる事は冒険者登録のみだな。 「フレデリク、また夕方頃ね〜」 「ちょ、カイル様!?」 あ、王族は簡単に外に出られないんだっけ?出るとしたら護衛を連れてかないとなのか。 「大丈夫!王宮内にいるよ!」 と、俺は堂々と嘘をつき人気の無いところへ向かう。 「〈チェンジマスク〉」 よし、これでOK。俺は明らかにモブの姿で王宮を後にする。因みに俺の服装はチェンジマスクした時に自分の好きなように変えられる。多分服装のみの単体もできると思う。髪の色はベースは黒なので右サイドの父親譲りの白髪も変えられる。しかし欠点は目の色が変えられないこと。目の色は母でなく父様の銀色の目の色に似てしまったのだ。王族特有の色というのはこの世界では特に無いのだが、父様は歴代でも凄い人らしく国民の中でも有名なためバレる可能性が高いのだ。そこに来てこの国には俺と父様以外に銀眼はいないときた。 そういう時は眼鏡だ。 「よし、眼鏡に細工っと…〈コントラー〉」 ただの眼鏡だと透明なので意味がない。しかし、魔素ならどうだ?魔素は普通の人にはまず見えない。しかし、集めれば魔素は存在感を増す。 と、思う(汗) 俺はただ漫画で見たことあるあれをやってみたまでだ。 魔力量が多いというのは魔素を溜め込む器が大きいから。そして魔力を解放すると怯える、なんてシーンは多い。あれは仮説だが集めた魔力(魔素)の存在感が周りとは比べ物にならないから、と。 「だいぶ魔素集まったな。よし。」 魔素の集まったところに眼鏡を持っていく。 「ええと、チェンジマスクなら…色変化魔法ちぇ、〈チェンジカラー〉…なーんて。えぇ!?」 眼鏡は予想通り(?)薄い灰色になった。これなら銀色の眼がバレることもない、だろう。 そして俺は王宮から出る。 (えぇと、冒険者ギルドは確か城から一番遠い街の出入り口付近か。2km弱ってとこかな) 「すみませ…すまん、乗せてくれないか?」 近くを通るフリー馬車、前世で言うタクシーに声をかける。馬を引くのはおじさんだった。 「あいよ、兄ちゃんどこまでだい」 「冒険者ギルドまで」 「銅貨五枚だよ」 「今銀貨しかないのだが」 「あい、両替ね。銀貨一枚でいいよ、はい銅貨四十五枚」 なるほどこの世界では銀貨一枚で銅貨五十枚の価値があるのか。俺はおじさんの隣に座らせてもらう。 「なぁ、ちなみに金貨は銀貨何枚なんだ」 「?兄ちゃん変わってるね。そんなことも知らないのかい?」 「まぁ、田舎もんなもので。」 あはは〜使ったことねぇもん。いやあるけど自分でやったことねぇもん。 「金貨一枚で銀貨百枚の価値だよ。白金貨は一枚で金貨五十枚分だ。」 「なるほど??なぁ、そんなバラバラなのはやっぱり使われてる金とかの価値なのか?」 「そうなんだろうねぇ。いやぁでも兄ちゃんが銀貨をほいと出すとは思わなかったよ。」 「?なんでだ?」 「銀貨一枚は平均成人男性(この国)の一ヶ月強の給料だからだよ。」 「えぇ!?一ヶ月で銅貨五十枚!?」 「さては兄ちゃん田舎もんって言ってるけど貴族出かい?」 すみません、貴族どころか王族です☆とは言わない。 「いや、そんなんじゃ。俺の住んでたところはだいぶ田舎で金なんて無かった。物々交換だったからな」 「ほぉ。俺もそんなのどかなところで生きたいね。」 「え、えっともうそこ廃村でな(ごめんな、おじさん嘘ついて!!)」 「それは残念だ。ほい、ここだよ兄ちゃん。冒険者ギルドだ。また乗りに来てくれよ。安くしてやる。」 「そんな、いえここは感謝だな。ありがとうございます。」 「いーえ。なんだい、やっぱり敬語使えるじゃねぇか。ははっ、じゃあな兄ちゃん」 「(ギクゥっ)はっは、はは…」 (バレるよな、それは) そして、おじさんは馬を引いて元来た道を戻っていった。 (ここが、冒険者ギルド) 目の前には剣と盾がモチーフの看板があり、強そうな人達が出入りしていた。
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