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プロローグ
ただのんびり、のんびりと過ごしていた。いつも通りに。
家族は姉しかいなくてその姉も結婚し、家にはいない。母と父は飛行機の墜落事故で亡くなった。母も父も努力家で会社経営の人だった。
現社長は亡き父に代わり姉の夫で、俺の義理の兄にあたる人がやっている。とても良い人。俺が言う筋合いはないと思っているが父ほどではないけれどよくやってくれている。
それに昨年甥っ子が産まれた。とても愛らしい子だ。先月久々に会って驚いたのが姉でも義兄でもなく俺に似ている黒髪ストレートにちょっと不気味と思われるかもしれないが、青じみた黒目?と男の子だったのだ。俺に似ているせいで変な心配をしてしまう。なぜなら俺はこの眼のせいで不気味と思われ、いじめられることがあったからだ。仲のいい友人はいたし、理解してくれる良き先生もいる。それでもやっぱり心配してしまう。義兄も姉も俺の事を受け入れてくれている。
それでも落ちこぼれと思われるのはいい気がしない。
「晴風(ハルカ)をお願いね、春(シュン)」
「姉さん、義兄さん早く帰ってきてね?」
「当たり前よ。二時間ぐらいだもの」
「うん」
この会話を最後に二人は不慮の事故で亡くなった。
「姉さん!!義兄さん!!!」
「あぅ…あ?しゅに…い?」
「晴風…大丈夫、大丈夫だよ、絶対俺が守るからね」
亡骸二人と生きた人間二人が静かになった病室に残っていた。
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