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中に入り数歩進むと、1人の老婆がいた。どうやら受付をしているようだ。
「先日予約したAですが…」
僕は自分の名を名乗った。
老婆は1つ頷くと、何も言わずに奥へ進むよう、手をかざした。
店内に明かりは少なく、足元は真っ暗だった。所々にあるランプが、辛うじて辺りを照らしていた。
奥へ進むと、扉にぶつかった。僕はゆっくりと、その扉を開けた。
部屋に入ると、1人の男性がテーブル越しに椅子に座って、こちらを見ていた。
「ようこそ…ハッピーニューいやーんへ…」
男は言った。
男はモヒカン頭で、肩幅は広く、筋肉質な体躯をしていた。腕は丸太のように太く、体重100kgはありそうだ。その姿は、まるでプロレスラーのようだった。
そして、右まぶたの上には深い傷があり、右目はやや潰れていた。
こんな人と…今から話すの…?
店名とは似つかわしくないその容貌に、僕は命の危険を感じながらも、勇気を振り絞って男の前まで歩を進めた。
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