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クリスマスイブに凪が消えても、二人ともしばらくそれどころではなかった。 綺保子の容体が予断を許さなかったのだ。 もしかしたら今夜が山かもしれない、と医師から告げられ、秋山は各方面に連絡をし、その結果やたら顔が広かった綺保子の知り合いが病院に殺到し、別れを惜しみ、そして綺保子は持ち前の生命力で無事生還を果たした。 これがお正月明けまでの話。 その後気づくのだ。凪の不在の大きさに。 わたしのせいかな、としばらく罪の大きさに苛まれた。 わたしが好きだなんて言ったから、いづらくなったのかもしれない。 だったらわたしが出て行くのに。 そして秋山は―― 見ていられなかった。 憔悴、と言う言葉では表しきれないような落ち込みと悲しみが、言葉を発さずともビシビシと伝わってくる。 失って初めて、その恋の大きさに気づくものだ。 「もしかして初めて失恋されました?」 夕食の時におずおずと聞いてみると、 「……2回目です」 となぜか不貞腐れたように言うのだった。 綺保子が病院から戻ってくるまでのわずかの間は二人暮らしだったが、秋山は毎日グリーンスムージーをこしらえていた。
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