34人が本棚に入れています
本棚に追加
「…珍しいものがお好きなんですね。」
と苦し紛れに絞り出すと、また少し笑って、
「初めて買って行ったお菓子がこれなんですけど、めちゃくちゃ喜んでくれて。」
有木さんも食べます?
と差し出されたので、苦笑いで小さくかぶりを振った。あまりにも美味しくなさそう過ぎる。
「わたしはこれ買います。」
とチョコミントアイスを手に取った。
勤めていた頃は、カフェで可愛くて豪華なスイーツを食べてはSNSにアップしていた。
今のわたしはもうあんなスイーツは財政的にも年齢的にも食べられない。というか、前から食べられなくて、ひっそりお腹を壊していた。本当はスーパーの100円にも満たないアイスで十分幸せを感じられる。
居候はしているが、前金として秋山に本当にささやかだが、小額包んで渡した。
固辞されたが、使わなくてもいいから預かっておいてくれと懇願した。無料で人から厚意を受けるのはムズムズする。
家に戻ると凪が洗濯物を取り込んでいた。
この家は秋山が炊事と日用品の管理、凪が掃除洗濯、と役割がハッキリ決まっている。
一方ができなそうな時は片方に頼んで代わってもらうのだそうだ。
最初のコメントを投稿しよう!