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「…珍しいものがお好きなんですね。」 と苦し紛れに絞り出すと、また少し笑って、 「初めて買って行ったお菓子がこれなんですけど、めちゃくちゃ喜んでくれて。」 有木さんも食べます? と差し出されたので、苦笑いで小さくかぶりを振った。あまりにも美味しくなさそう過ぎる。 「わたしはこれ買います。」 とチョコミントアイスを手に取った。 勤めていた頃は、カフェで可愛くて豪華なスイーツを食べてはSNSにアップしていた。 今のわたしはもうあんなスイーツは財政的にも年齢的にも食べられない。というか、前から食べられなくて、ひっそりお腹を壊していた。本当はスーパーの100円にも満たないアイスで十分幸せを感じられる。 居候はしているが、前金として秋山に本当にささやかだが、小額包んで渡した。 固辞されたが、使わなくてもいいから預かっておいてくれと懇願した。無料で人から厚意を受けるのはムズムズする。 家に戻ると凪が洗濯物を取り込んでいた。 この家は秋山が炊事と日用品の管理、凪が掃除洗濯、と役割がハッキリ決まっている。 一方ができなそうな時は片方に頼んで代わってもらうのだそうだ。
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