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普通なことのように思えて、これがなかなか画期的だと思う。
やらなければどちらかが自然にやってくれると思うと齟齬が生じるものだ。
「珍しいね。帰り一緒になったの?」
凪の目線が鋭くわたしを刺す。
「そうそう、たまたまな。ほら凪、わかめまんじゅう。」
と秋山がつつみを差し出すと、凪の目が急に輝いた。
「…ありがとう。嬉しい。」
溢れ出る喜びを噛み締める表情に、見ているこっちがクラクラした。
凪くんて不思議。
男の子なのに、お花とか星みたい。
見た目が若くて美しいのはまあ、そうなんだけど、着飾ってないのに内側から発光している感じがする。
「…そんなにわかめまんじゅう好きなんて知りませんでした。」
白菜と豚バラ肉のミルフィーユ鍋の夕食が済んだ後、食器を食洗機にかけた秋山が入浴している時、テレビの前のソファーで本を読んでいる凪に声をかける。
お風呂上がりの凪は前髪がへにゃへにゃ額に張り付いていて不可思議に妖艶だった。
「好きじゃないよ。」
本に視線を落としたまま、凪があまりにもボソッと言うので聞き間違いかと思った。
「え?」
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