序章

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序章

 水曜日の午後2時20分。  平日の真っ昼間に、そのメールは届いた。  「これで貴方も下剋上!不思議なボールを六つ集めて、願いを叶えてもらうチャンス!」    そんなバカな、である。  まず、「下剋上」という表現が気になる。お前は下位のものだ、と決めつけられているようで、そこはかとなく不快である。  そして、ボールを集めて願いを叶えるだなんて非現実的すぎる。どこぞのドラゴンなんちゃらか!と思わずツッコんでしまうような条件だ。  もちろん、こんなメール信じてはいない。  しかし、しかしだ、俺は今、丁度長い長い休みに入っている。  これは嘘メール。ほぼ100パーそうだろう。  だが、あくまでも「ほぼ」なのだ。  もしかしたら、本当にもしかしたらだけど、願いを叶えてくれると言うのなら、このチャンスに乗っかるしかないだろう。  もう一度言おう、俺は暇なのだ。    
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