氷鬼の憂鬱

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給食を食べ終えると、クラスの半数はいつもの倍速で食器を片付け始めた。 「氷鬼したいヤツは、砂場近くに集合ーー!!」 明るいキャラの市村が、教室の扉の前で叫ぶやいなや廊下へ飛び出した。 市村とつるんでいる2人組の男子と、その他アクティブな男子たちもネズミのように後を追う。 「行こうよ、ノリくん」 同じクラスで幼なじみのマナトが声を掛けてきた。 「ん、牛乳飲んだら行く」 「うん、先行ってるね!待ってるからね!」 何がおかしいのか、きゃっきゃと1人ではしゃいで、柔らかい猫っ毛の髪を揺らしながらマナトは走っていった。 同じ小学3年生だけど、マナトは俺よりも少し幼い気がする。 俺は残り半分の牛乳を大急ぎで飲み干して席をたち、食器を片付けて、教室を飛び出した。
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