ふたつ

2/3
前へ
/3ページ
次へ
 優しい人ばかりだ。あんなに忙しそうなのに私をもてなすことも忘れない方たち。貴重な時間だろうに。向こうの用意も大事だろうに。  それでも私はやることがある。私は知っていて今日ここに来た。  荷物の中から使い慣れたナイフを取り出す。神殺しに特別なものはいらない。ただ向こうをこちらと同じ舞台に立たせれば後は純粋な勝負になる。ものによってはそれが難しいこともある。それでも、こういったところのものは比較的簡単だと、経験が言う。  油断するわけではない。けれど私には義務がある。それさえ忘れなければ問題はない。  神はいくらでもいていいという考え方がある。例えばあれとあれの神は同じものだろうと推定する考え方がある。  私は一つの神にいくつかの解釈がある。けれどそれに当てはまらない神を名乗るものは全て排除しなければならない。そういう考え方の下にいる。その下で私の行動は決定される。  あちらは違う。それ一つで同じ舞台に立てる。それだけでいい。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加